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◯カーグ編第二章 〜旅立ち〜


- + - ユ ー ベ ル - + -


 ロイド亡き後、カーグは正式に防衛隊隊長となる。
 その就任式が、城跡で執り行われた。

 就任式後、ナフィアはカーグに渡したい物があるので、家まで帰って来る様に、と告げて去っていく。ポーレットとマルは町の中を巡回し、カーグは実家に向かう。
 ナフィアの部屋で、カーグが手渡されたものは風霊石であった。夫ウィンドルフとナフィアがそれぞれ所持していた風霊石であったが、ナフィアは息子カーグにそれを贈った。カーグは父親の事を聞こうとするが、ナフィアは答えず、足早に立ち去る。

『……選ばれし者よ……目覚めるのじゃ……暗黒の闇……力を求め……再び世界に……滅びの時……迫る……その果てなき絶望の闇に……光を照らす者を求め……我らはこの世に戻った……選ばれし者よ……己が力を……目覚めさせ……世界を……滅びから……救え……』

 カーグの目の前に、再び風の精霊が降臨した。
 だが、いきなりその様な事を言われても、カーグに解る訳がなかった。

 酒場にある防衛隊オフィスに行くと、何やら女性が強盗の被害に遭ったという事で訪れていた。話を聞くと、フィアンセの男性からもらった婚約指輪を強盗団に奪われたという。余程動転しているらしく、どの辺りでどの様な強盗団に遭って被害を受けたか、よく覚えていないらしい。
 この強盗騒ぎを解決するのが、隊長カーグの一つ目の仕事。
 そして精練所に行くと、親方のバンジョから、ブッチがプラム渓谷に調査に向かったまま戻って来ないという話を聞かされる。魔族と争ったばかりの場所なので、カーグも様子を見に行く事にする。これが二つ目の仕事。
 また、宿屋の2階の部屋に行くと、見知らぬ男が相談をしてくる。話を聞くと、その男性が子供の頃、このユーベルにいる親戚の家に遊びに来た事があり、毎日あちこちを探検して遊んでいたという。ある日、とある物を見付け、誰にも知らせずにとある場所に隠したそうだ。だが、その場所は今ではモンスターの巣窟となっているので、代わりに隠し場所に行き、それを取って来て欲しいという。
 カーグは、これを引き受ける事にした。
 そのとある物は、古びた壷に入れ、樹海のはずれの岩の下に隠した、という。これが三つ目の仕事。
 これらのギルド仕事の様なイベントを、一つ一つ解決していこう。仕事は一つずつ請け負って解決してもいいし、一度にユーベルで三つとも請け負い、三カ所を回ってまとめて解決してもいい。



- + - ス ク ラ ッ プ 高 地 - + -


 早速、カーグ達はユーベルの町の北にあるスクラップ高地へ向かった。
 すると、其処では確かに強盗団が『仕事』をしていた。話が通じる相手な訳がなく、当然の如くバトルとなる。

 
強盗団をぶちのめせ!

 襲って来るのはLV9の強盗1人、LV8のケンカ屋2人、LV7のケンカ屋1人。
 強盗からは疾風のはちまきが盗めるので、マルにまず盗んでもらおう。因みに、ケンカ屋からは小石・薬草が盗める。また、アクティブギミックのドラム缶を破壊すると、中に爆弾が入っている事がある。
 強盗は銃を使い、近付いたキャラに対して発砲し、20前後のダメージとなるので少々厄介。真っ先に倒してしまえば、後は楽な展開に。全ての強盗団を倒すと、石彫りのブレスレットが手渡される。

<入手アイテム>
◯強盗 : 疾風のはちまき  /  ◯ケンカ屋 : 薬草(LV8)、小石
◯ドラム缶 : 爆弾



 強盗は指輪など知らない、盗っていないと訴え続け、ウソをついている様でもないので、依頼人の女性から詳しい話を聞き直す事にし、ユーベルに引き返す。



- + - ユ ー ベ ル - + -


 酒場に入り、防衛隊オフィスのダントンに近付くなり、ダントンは謝りだした。どうやら、この強盗騒ぎは女性の狂言だった様だ。本当は、指輪は川に落として無くしたらしい。
 大切な婚約首輪を川に落としたとは言えず、強盗に盗られたという事にすれば、婚約解消といった事態にならなくて済む…と考えての事だった。だが、その時現れた婚約者の男性は、婚約指輪はイミテーションだったと告白する。その代わり、スクラップ高地にあった石で作ったブレスレットを贈るつもりだったという。つまり、カーグが強盗団から取りかえしたブレスレットだ。こうして、一件落着。



- + - プ ラ ム 渓 谷 - + -


 次に、プラム渓谷に行くと、入口近くでブッチが立ち尽くしていた。モンスターのマイマイが巣食っているという。追い払っても、次々に発生するようだ。取り敢えず、今うろついている分だけでも倒してしまう事にした。

 
マイマイをすべて排除しろ!

 LV5〜6のマイマイが合計11匹。それ以外に、火薬缶(火薬の詰まったドラム缶)が2つと、木箱が1つある。木箱の中には毒よけコロン・精霊石12個・120Gが入っているので、忘れずに壊して入手しておこう。
 マイマイの毒攻撃は非常に厄介なので、集中攻撃をしつつ、早めに倒していこう。皮の腕輪で防御力を高めたカーグを囮にして、マルとポーレットで攻撃範囲の広い特技を使うのが有効。

<入手アイテム>
◯マイマイ : 毒薬、毒よけの実、精霊石7個
◯木箱 : 毒よけコロン・精霊石12個・120G



 倒し終えると、ブッチは旧時代の機械に目を付けた。其処からはオイルが漏れ出しており、その成分の中に、マイマイを強く惹き付けるものが含まれていた様だ。



- + - 樹 海 の は ず れ - + -


 樹海のはずれに入った直後はバトルがないので、早速あちこちを捜しまわる。点在する岩の近くで◯ボタンを押すと、その場所を調べる事が出来る。ずっと右側に歩いていき、崖の近くの岩肌(地面にポンと置いてあるような岩ではなく、草むらから顔をのぞかせている岩肌の部分)を調べると、『地面に何か埋めてあるようだ』と表示される。其処を調べてみると、地中から古びた壷が出て来た。
 すると背後からモンスターの群れが襲い掛かって来る。

 
すべての敵を倒せ!

 LV5のふくろリスが3体と、LV6・LV7のクスクルが2体ずつ。クスクルはふくろリスの色違いモンスターで、ひと回り強い。盗むといにしえの薬草が入手出来る。ふくろリスの集団という事で、特に気を付ける事もないだろう。

<入手アイテム>
◯ふくろリス : 薬草、小石  /  ◯クスクル : いにしえの薬草、いい薬草、皮の腕輪



- + - ユ ー ベ ル - + -


 古びた壷を持って、ユーベルの酒場二階の見知らぬ男の所へ戻る。中には、不思議な辞典が入っていた。それは、精霊辞典・第1巻であった。
 男性は、自分はペイサスの町の学者でスパンという名だと話す。精霊辞典には下位精霊の情報が多く書かれている。
・時の精霊について
 時の精霊……。時を管理する、ちょっぴりいたずら好きの精霊。時の流れを速くしたり、ゆっくりしたりできる。楽しい時がすぐに過ぎてしまうのは、彼の仕業かもしれない。
・夢の精霊について
 夢の精霊……。夢の中へ、自由に出入りすることのできる精霊。特に、悩みのある人の夢へ入り、その人の本音を知るのが好き。雲のようなものに乗っており、この煙を吸った人は不思議な夢を見るという。
・祈りの精霊について
 祈りの精霊……。人の心と心をつなぐことから、別名『心の精霊』とも呼ばれる。この精霊に聞こえた祈りは、世界のどこであろうと、必ず相手に届けられる。
・眠りの精霊について
 眠りの精霊……。眠りと安らぎを与える精霊。偉大な力で未来を見通し、予言とも取れる占いができるが、精霊自身、眠っていることの方が多く、滅多に占いをすることはない。

 スパンは、早速ペイサスに持ち帰って研究し、もしペイサスに立ち寄る事があれば、ぜひ訪ねて来て欲しいと言った。また、この精霊辞典はあと4冊あるという。そして、入れ物であった古びた壷はカーグに差し上げるという。こんな壷をもらっても…と困惑するカーグであったが、壷の中にはまだ何か入っていた。それは、ストーンホルダーであった。

 こうして、オフィス・スクラップ高地での指輪騒動、プラム渓谷でのマイマイ異常発生、酒場・樹海のはずれでの古びた壷探しの3つの依頼をこなし、ユーベルの酒場のカウンターにいる探検家ザップに話し掛ける。
 ザップの話では、先程竜骨谷の方で飛空挺が墜落したという。どこの国の飛空挺かは不明だが、東の方から飛行してきたという。
 カーグは負傷者の救出に向かおうというが、ポーレット・マルは領空侵犯の疑いがあり、更に場所が魔族の領域であるため、慎重に調査する必要があると告げる。取り敢えず、現場に急いで向かう事にする。


- + - 竜 骨 谷 - + -


 雪の降り積もる、大陸北部の竜骨谷に到着した3人。コゲ臭い匂いの立ち篭める谷には、確かに飛空挺と思しき巨大な物体が墜落していた。そして、その近くに人が倒れているのが、やや遠く離れた3人からでも見える。すぐ、其処まで駆け寄る3人。
『誰にも渡せない……早く…行かなきゃ……』
 倒れていた少女は、意識がはっきりとしていない状態で呻く様に呟いている。
『ここは?』と呟く少女に、『ニーデリアの外れだよ、ラグナス大陸だ』と応えるカーグ。
 裏手に回り、状況を調べていたポーレットは、外部から狙撃された形跡を発見する。また、国籍もやはり不明だという。
 少女リリアは、東の国からこの飛空挺ビッグアウルで独りで来たと言う。カテナ共和国にある世界連盟に向かおうとしたが、ディルズバルド軍に追われ、その飛行戦艦によって撃たれた事でオートパイロットシステム(自動操縦装置)が壊れ、墜落したらしい。それ以外に、ディルズバルドが関わってくる危険性を憂慮し、ポーレットが幾つか質問をするが、やはり言えない事情があるらしく、口を閉ざしてしまうリリア。カーグは、ひとまず此処を離れようと言うが、その時ドゥラゴ族が襲って来た。
 売り言葉に買い言葉。応戦しようとする勝ち気なポーレットであったが、飽く迄もカーグは冷静に状況を判断し、無理に魔族を倒す事なく、リリアを守り抜いて竜骨谷から離れるようにとポーレット・マルに指示を下す。そしてそれに従う2人。

 
リリアを魔族から守り通せ!

 向かって来るのは、LV7のドゥラゴ族5体とLV5のドゥラゴ族1体。とにかく、竜骨谷出口までひたすら進んでいくリリアの進路を確保し、守り抜かなければならない。
 ドゥラゴ族の中心辺りへ向かっていけば、カーグとマルが囮になるのは簡単だが、出口手前のドゥラゴ族1体だけは、その場を動かず魔力でリリアを攻撃してくる。これで30少々のダメージを受けてしまう。因みに、リリアはLV1でHP42。魔力を一度喰らう度に薬草か応急手当で回復させなければやられてしまう。ポーレットはリリアの側を離れない様にし、何としても死守する事。
 リリアもプレーヤー自身で動かす事が出来れば、持久戦に持ち込んで確実に勝てるのだが、リリアは自分のターンになると自動で動き、敢えて攻撃を受けやすい様な敵の間合いへスイスイと入り込んでいくひねくれ者(苦笑)。
 彼女の動きを予測しつつ、つまり、彼女がどんな無謀な動き方をしても、ドゥラゴ族たちの注意をカーグ・ポーレットに確実に向けられる様な位置で行動終了する様にし、一気に出口目がけて進んでいこう。
 このバトルは、ドゥラゴ族を全滅させるか、リリアが竜骨谷の出口に辿り着くかすれば終了。
 余談だが、出口付近のLV7のドゥラゴ族たちからは、風の守りの薬緑の護符を盗む事が出来る。落としてくれるのを期待するより、盗んでしまった方が確実だ。無論、その場合は盗めるだけの余裕とレベルが無ければ無理な話だが。

<入手アイテム>
◯ドゥラゴ族 : 緑の護符(LV7)、風の守りの薬(LV7)、薬草(LV5)、精霊石9個



- + - イ ス ロ の 森 - + -


 何とか脱出出来た一行がイスロの森に入った時、何処からか轟音が木霊する。それは、ディルズバルド軍の飛行戦艦であった。走り出し、その場を離れる一行。だが、吊り橋を渡り切った時、茂みの方から人影が。
『森が鳴いている…。この森を傷付ける気なら、俺が相手になる…!』
 現れたのは、いかつい顔をした謎の巨漢であった。
 そして、吊り橋の向こうからは、ディルズバルド軍の士官と兵士らが迫って来ていた。兵士は正確にリリアの足を狙撃し、たまらずリリアは蹲る。
 士官は上官である中佐へ無線で連絡を取るが、森の中のためか、無線が繋がらず交信は出来ない。士官は毒づき、すぐ様リリアを捕獲する様兵士達へ命じた。一斉に吊り橋を渡り、向かって来るディルズバルド軍兵士。
 男は、カーグ達に兵士を倒してしまう様に言った。そして自分はその間、吊り橋を落してしまい、これ以上ディルズバルド軍がやって来ない様にするという。

 
敵を倒してつり橋を落とせ!

 周囲を取り巻くモンスターは、LV9のD・ハウンド2体とLV8のD・ハウンド1体。そして、LV7とLV9のライフル兵が各1体、更にLV6とLV8の一般兵が各1体。最後にLV8の指揮官1体。つまり、ドッグ系モンスター3体に、兵士が5体である。
 オマケとして、湿った朽木が2カ所あるが、このアクティブギミックには何も入っていない事が多い。たまに薬草いい薬草が入っているが、ここでは無視しておこう。
 因みに、吊り橋のすぐ側の指揮官からアメジストコートを盗む事が出来る。盗まなくても、倒せばお金や精霊石と共に落としてくれる。余裕があれば、ライフル兵から爆弾命中の葉、一般兵から医療キットを盗んでおいても良いだろう。これらも、盗まなくてもなかなかの確率で落としてくれる。ただし、常に落とす訳ではない。
 D・ハウンドからは何も盗めないので、放っておけば良い。
 敵達の戦力はそれ程恐れるものではないので、さっさと終らせてしまおう。

 今回のバトルは特殊で、敵を全滅させてもバトルは終了しない。つり橋を支えている杭を斬り落とさない限り、対岸からディルズバルド軍の増援部隊がいつまでも出現し続ける。逆に言えば、医療キットやアメジストコートを大量に入手する事も出来るので、D・ハウンドを残しながら、兵士を攻撃し続けるのも良い。

<入手アイテム>
◯指揮官 : アメジストコート
◯ライフル兵 : 爆弾(LV9)、命中の葉(LV7)  /  ◯一般兵 : 医療キット
◯湿った朽木 : いい薬草、薬草



 バトル後、ガンツは足を痛めたリリアを、近くの小屋で手当てしてくれた。戦争孤児として生まれ育ち、傭兵となって日々を生き抜いてきたガンツは、手早くリリアへの応急処置を済ます。手慣れたものだった。
 カーグは、実戦経験の豊富なガンツに、新体制で発足したばかりの防衛隊に入ってくれないかと頼み込む。だが、ガンツはこの静かな森を守っていくことしか考えていないとし、これを断った。カーグは、残念な話だがそれもガンツの生き方だ、としてそれを了承した。そしてリリアを連れ、一行はニーデルへ向かった。



- + - ス ク ラ ッ プ 高 地 - + -


 あと少しでユーベル、という所で、リリアは立ち止まった。自分を匿えば、ディルズバルド軍がやって来て巻き込まれてしまうため、これ以上カーグ達の好意に甘える訳にはいかない、と言い出す。
 だがカーグは、ここまでディルズバルド軍が侵攻してきた以上、もうリリアだけの問題ではない、だから気にするなと答えた。
 そんな話をしている時、上空から次々とディルズバルド軍の兵士がやって来た。
 リリアをこちらに引き渡せ、というのが要求だが、カーグは真っ向から反発した。これは、独立国家に対する侵攻だと。だが、ディルズバルド軍士官は、それがどうした、と一笑に付す。そして、リリア以外を全員始末しろ、との命令が下された。

 
ディルズバルド軍を倒せ!

 LV8のD・ハウンドが2体に、LV8の一般兵・ライフル兵が2体ずつ。そしてLV9の指揮官1体という戦力。あまり長引かせたくはない。
 その左右には、アクティブギミックとしてドラム缶が2カ所あり、スリープクラッカーすごい爆弾が入っている。忘れずに壊して入手しておこう。
 取り敢えず、一般兵やライフル兵から医療キットでも盗んでおくと良い。又、指揮官からは、レベルアップをする事が出来るみなぎる果実を盗む事が出来る。

<入手アイテム>
◯指揮官 : みなぎる果実  /  ◯ライフル兵 : 医療キット  /  ◯一般兵 : 医療キット
◯D・ハウンド : 痛烈な針
◯ドラム缶 : スリープクラッカー、すごい爆弾



 呆気無く撃退出来た事に、マルは満足している様だったが、カーグは妙だと感じていた。世界各地に次々と侵攻している軍隊にしては、兵力・戦法が貧弱で一本槍だと。するとその時、カーグ達を取り巻き、かなりの数の兵士がこちらに銃口をむけて隊列を組む。実は先程の一団は、このための囮だったのだ。
女指揮官タチアナ『はい、リリアを発見しました。間もなく確保します』
 カーグ達の前に現れたのは、このディルズバルド軍を指揮する、特務部隊中佐タチアナ・モニカ・カーロフ。
 速やかにリリアを引き渡せ、これは交渉ではなく、命令であるという。従わないなら、本格的にニーデリアへの侵攻を開始するとカーグに突き付けて来た。カーグは、ニーデリアも世界連盟へ加盟している、ニーデリアへの侵攻は即ち、世界連盟に対する反逆行為だと。
 だが、烏合の衆である世界連盟など恐るるに足らず、それ以前に、既に世界連盟に牙を向けているのだとタチアナは苦笑混じりに言った。
 リリアは、投降すると言い出した。その代わり、カーグ達へ手出しはしないで欲しいと。タチアナはこの要求を呑み、早速撤収しようとした。だが、無線で指令が出た。
タチアナ『ダッカム皇帝陛下の命令だ。リリアの逃亡に手を貸した者たちを処刑する』
 約束が違う、欲しがっているものは渡すからやめて下さい、とリリアはタチアナに願い出るが、タチアナは上から下された命令に背く積もりなどなく、処刑をする様、兵達に命じた。
 だがその時、怒りに震えるカーグの全身が青白いオーラに包まれる。そして咆哮と共に一陣の竜巻が発生し、ディルズバルド軍兵士を残らず吸い上げ、吹き飛ばしてしまった。
 タチアナは驚愕し、速やかにその場を離れていった。



- + - ユ ー ベ ル - + -


 ユーベルに帰り着いた一行であったが、リリアとカーグは呑気な会話を始める。そして、ポーレットはナフィアへの報告が先だと言い、一足先にカーグの実家に向かった。
 ポーレットとカーグからナフィアに一通りの事情を説明し、ナフィアがリリアに詳しい経緯を聞くと、リリアは意を決し、打ち明けてくれた。
 ディルズバルド帝国は、自分の持っているある物を狙っている、という。皇帝ダッカム・エキド・ナ・バルドは、世界の全ての国を支配下に置くため、必要な物を集めているそうだ。少なくとも、リリアの隠し持つ物では、世界を支配下に置くための力になる程のものではないが、それでも皇帝の探し求めている物の一つであるという。そこで、リリアはカテナ共和国にある世界連盟に、この事を伝えなければならない。世界連盟ならばディルズバルド帝国を止められるかもしれない、そう考えているという。
 ナフィアはリリアに対して、先程言った、好きなだけ此処にいても良いというのは取り消すと言った。その代わり、リリアを無事にカテナ共和国まで送り届ける様に、カーグ達に願い出た。
 その夜、ナフィアは既に眠りについていたカーグを起こす。リリアの姿が見えない、と。
 カーグは早速、リリアを探すために表に出た。
 酒場前の男性は、酔いを醒ますためにウロウロしていたが、城跡の方から素敵な音色が聴こえていた、と教えてくれた。
 そして、その近くの小川に架かる橋には、ポーレットが佇んでいた。
 ポーレットは、リリアは見掛けよりしっかりした人だから、それ程気にする必要はないのでは、と言った。それもそうだが、用心をするに越した事はない、という事で、もう暫くカーグは探してみる事にした。
 そして、城跡を訪れてみると、リリアが石畳の段差に腰を下ろし、不思議な楽器で綺麗な曲を奏でていた。
 その楽器はオルティナといい、亡くなったリリアの母の形見だそうだ。リリアの生まれた村でのみ伝わっている民族楽器らしい。
 リリアは、ナフィアは凄い人である、と驚いていた。ディルズバルド帝国ほどの大国から逃げ延びてきた人間を、詳しく事情を聞く事なく受け入れるのだから。それが、その後どの様な事態に陥るか察した上で。
 リリアは、隠し持つ物の事を打ち明けていくべきだったと言った。そして、カーグにそれを告白した。
 リリアが持っているのは大精霊石で、その内の光霊石である。
 カーグがナフィアからもらった風霊石と良く似ていた。
 二人が石をそれぞれ出すと、共鳴をするかの様に輝きだし、そして二人の前に光の精霊が降臨した。

『……僕は……光の精霊……地・水・火・風・光……5大精霊石が……そろう時……無限の力が……生まれる……邪悪なる闇から……僕を守り……』
 そこまで言うと、光の精霊は具現化する精霊力を失ったのか、消えてしまった。
 カーグは、何となく事情が分かり始めてきた。二人がそれぞれ風霊石、光霊石を持っているという事は、他にも地霊石、水霊石、火霊石があるという事になる。とすると、ディルズバルド帝国のダッカム皇帝が狙っているのは、リリアの光霊石を含め、5大精霊石を揃えて、無限の力を手に入れるという事ではないか、と。
 既にダッカム皇帝は、地霊石は入手したらしい。
 カーグは、リリアを守り、共にカテナ共和国に行こう、といった。リリアは素直に感謝の言葉を述べた。
 そして、その始終を、ポーレットが石柱の影で息を潜め、聞いていたのだった…。

 酒場に行くと、探検家ザップがカウンターで呑んでいた。そして、カーグに知り得た世界の様々な事を語ってくれた。
ザップ「かつて、『大災害』と呼ばれた天変地異があっての。世界は大混乱に陥った。その頃、人間と精霊の間には深い溝が出来ていたんじゃ。しかし、『ハンター』と呼ばれる者達の活躍で平和が訪れると、一度は断ち切られていた『人と精霊のキズナ』が再び結ばれたのじゃ。その結果、人と精霊が共存する時代が到来した。しかし……その幸福な時代も永遠に続くものではなかった。高度な文明によって作られた一部の機械が意思を持ち、暴走して、世界をまたしても荒廃させてしまったんじゃ。当然、精霊達も無事ではいられず、その力を石に込め、世界から消えてしまったというわけじゃ。おしまい」
 …アークザラッドシリーズの、これまでの歴史の流れの概要である。

 カーグは、自宅まで帰ると、ナフィアに先程の事を伝えた。そして、その夜はもう休む事にした。
 翌日。リリアは、もう少しケガが治るまで安静にしている事になった。そしてその間、ポーレットの提案により、リリアの飛空挺ビッグアウルを修理し、それでカテナ共和国へ行けないだろうかという話でまとまり、早速飛空挺の修理を試みる事にした。
 製錬所のバンジョとブッチに話をしてみたが、やはり飛空挺の修理となると専門外なので到底無理だという。それもそうだ。
 次に、酒場に行き、探検家ザップに話をしてみた。
 ザップは飛空挺の事を調べてみたようで、オートパイロットの制御パーツが壊れている以外は、それ程ひどい破損箇所は無いという事だった。その制御パーツが無ければ、離着陸時の機体の制御が出来ないという。ただ、スクラップ高地に朽ち果てた飛空挺があったので、その中に、制御パーツも有るのではないかと教えてくれた。


- + - プ ラ ム 渓 谷 - + -


 以前にマイマイを異常発生させた機械の横に、スクラップ高地のコントロールパネルに使えそうなバッテリーがあった。よってこれを取り外し、スクラップ高地まで持って行く事にした。


- + - ス ク ラ ッ プ 高 地 - + -


 バッテリーをコントロールパネルの横にセットし、レバーを操作すると、デッキが動き出した。そしてある程度動くと、コントロールパネルがショートしたようで、中途半端な状態で再び停止してしまった。
 だがそれが幸いし、飛空挺の制御パーツを入手する事が出来た。
 竜骨谷に再び赴く前に、一度リリアの様子を見に行き、状態が良いのならカテナを目指す事にする。


- + - ユ ー ベ ル - + -


 リリアは、ナフィアにスクラップ高地でのカーグの事を話していた。カーグが精霊魔法を使える様になっていて、風を起こしてディルズバルド軍を撃退した、と。すると、ナフィアは考え込むようになる。
 取り敢えず、リリアのケガの具合はもう良いようなので、早速竜骨谷のビッグアウルに向かう事になった。


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 ディルズバルド軍侵攻時にガンツの斬り落した吊り橋が、いつの間にか元通りに修復され、川に架けられていた。
 きっと、ガンツがあれから復旧作業を行ったのだろう。


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 再び竜骨谷を訪れてみると、飛空挺ビッグアウルの傍にガンツの後ろ姿が見える。
 ガンツは傭兵時代に飛空挺の整備をした経験があるので、制御パーツを渡せと言う。そして、仲間になる代わりに取引きをしようと言ってきた。それは、かつて命を救ってくれた戦友が、今はアルド大陸にいると分かり、彼に会いに行きたい。カーグ達がカテナ共和国に行くのなら、同乗をさせてくれ、というものだ。
 カーグはその条件を受け入れ、ビッルアウルの修理をガンツに依頼した。
 ガンツが制御パーツの修理をしていると、リリアが窓の外にナフィアの姿を見付ける。カーグは、ナフィアと話をしに一旦ビッグアウルを出た。
 ナフィアは、カーグに念を押して忠告をした。それは、魔族というだけで戦う理由にはしないで欲しい。この先何があろうとも、貴方は私と父ウィンドルフの誇りです。自分を愛し、世界を愛しなさい。風霊石の導くままに。と。
 ビッグアウル内部に戻ると、丁度ガンツが修理を完了させていた。早速アルド大陸を目的地に設定し、発進させる。
 フライト中、カーグはリリアに光霊石を手に入れた経緯を尋ねる。すると、リリアは素直に答えてくれた。
 光霊石は、リリアの生まれた小さな村で密かに受け継がれてきたもので、豊かな実りをもたらす神聖な石として、祈りを捧げてきた。しかし12年前、それを突き止めたディルズバルド帝国皇帝ダッカムが、戦闘部隊を率いて村を襲って来た。あっという間に村は占領されてしまい、その時、リリアの両親が村人達から光霊石を託され、村から逃げ延びた。……村は、一夜にして焼かれ、滅ぼされてしまったそうだ。その後、リリアと両親は各地を転々とし、父親は母親に光霊石を渡すと、そのまま姿を消してしまった。ようやく平穏な日々が訪れたが、母親の病気は日増しに重くなり、とうとう3年前に他界してしまった。その時に、リリアは母親から光霊石を受け継いだという。

 と、その時。背後の雲間から飛空挺が現れ、機関銃を掃射してきた。機体を数カ所撃たれ、ビッグアウルは激しく揺れる。バランスを崩したビッグアウルは、そのまま落下してしまい、アルド大陸のアシダの森に不時着をした。すると、リリアは書き置きを残し、姿を消してしまっていた。皆をこれ以上危険な目に遭わせたくない。自分は一人でも大丈夫だ、と。
 カーグ達は、リリアを探しに外へ出た。
 と、ここで。ビッグアウルの中には、精霊の心と自動キュア装置があるので、回復とデータのセーブが可能だ。


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