オープニングは、エルクの生まれ育った故郷の惨劇から。
村人は手当たり次第に虐殺されていく………。
老体「お前達、何者じゃ!?」
ロマリア兵「死にたくなければ邪魔をするな」
村人「何人たりとも、炎の精霊様には近付かせん」
指揮官「ふっ。命を捨てて、精霊の盾になるか。いいだろう」
エルク「やめろぉ」
エルクの父「エルク!」
指揮官「やれ」
炎の精霊を死守しようとし、銃殺されていく人々。その中にはエルクの父親の姿もあった。
エルク「とうちゃん、じいちゃん…。おまえら、なんで…。なんで、みんなをころすんだ!」
指揮官「何だ、小僧。お前も同じ所へ送って欲しいのか?」
エルク「ゆるさない。おまえたちも、ひどいめにあわせてやる!」
エルクは生まれながらに持つ火の力を解き放ち、ロマリア兵達を一瞬で倒す。
エルク「こんどは、おまえだ!」
指揮官「力を使い果たしたか…。しかし、凄いものだな。これが精霊の力か」
研究者「仲間を殺された怒りが、爆発的なエネルギーとして働いたと思われます。しかし、それにしても凄い…。この子供、詳しく調べたいのですが」
指揮官「それより、先に精霊を運ぶ準備だ。持ち場につけ! シルバーノアを呼べ」
ロマリア兵「はっ。 準備が出来ました」
シルバーノアにより、炎の精霊は研究施設へと運ばれていき、力を使い果たしたエルクも施設(白い家)にサンプルとして収容される。
エルク「やめろ!! 離してくれ!! ………ふぅ………。また、昔の夢だ。………今夜はもう眠れそうにないな」
悪夢から醒め、もう眠れそうもないなと感じたエルクは、夜半過ぎの町中へと出て行こうとする。
ここで、装備の確認をしておいた方がいい。
エルクの初期装備はスピア・布の服・薬草なので、この薬草を復活の薬に替えて攻撃力を上げておく。理由は、アルディア空港での初バトル、アルフレッドを一撃で仕留められるから。
そこへ、仕事が入ったと押しかけてくる相棒、ビビガ。
ビビガ「エルク、仕事だ! 急いでギルドへ来てくれ」
エルク「ビビガ、今何時だと思ってるんだ?」
ビビガ「ハンターに時間なんて関係あるもんか。時間を選ばず悪い奴が事件を起こす、だから俺達が稼げるんだろ」
エルク「働くのは俺だけなんだけどなぁ………」
ビビガ「まあまあ、それより早く準備してくれ」
仕事の内容を詳しく聞くため、エルクとビビガはプロディアスのハンターズギルドへ向かう。
ギルド受付「炎使いのエルクか。遅かったじゃないか。早速だが仕事の話を始めるぞ。場所はアルディア空港だ。おかしな術を使う奴が暴れているらしい。警察は出動している様だが、いつものように役には立ってないだろう。報酬は2000ゴッズでビビガに前渡ししてある」
エルク「何!? ビビガの奴」
ギルド受付「金は払ったんだ、頼んだぞ」
エルク「ああ、任せとけって」
ビビガ「仕事の内容は聞いて来た様だな」
エルク「ああ。 お前が、金を受け取ってる事もな」
ビビガ「いや…あれは…、その…」
エルク「ちゃんと取り分はもらうぜ」
ビビガ「分かっとる、分かっとる。仕事が終わったら払うから」
アルディア空港では、テロ事件の犯人のアルフレッドが女性を人質にとって立て籠っていた。
周囲を警官が取り巻いているが、人質がいるために迂闊には手を出せない。
女性「キャー! 助けて!!」
アルフレッド「まだ分からねぇのか!!貴様らごときじゃ、相手にならねぇのが!」
警官「わ、分かった。要求は何だ?」
アルフレッド「この空港の飛行船の発着をストップさせろ」
警官「何だって!?」
空港の職員1「発着を止めろだなんて!今、上空ではセントディアナ号が着陸準備に入ってるんだぞ!」
空港の職員2「セントディアナ号と言えば、式典参加の要人が乗ってるのでは?」
空港の職員1「!! もしや、それが狙いか?!」
警官「何が目的なんだ?」
アルフレッド「うるさい!まず俺の言う通りにしろ。次の指示はそれから出す」
警官「そんなことでは…」
アルフレッド「つべこべ、言うんじゃねぇ!!」
空港の職員1「一体どうすればいいんだ。こんな奴等じゃいつになったら片が付くか判らんぞ」
空港の職員2「はあ、そう思いましてハンターに依頼しました」
空港の職員1「ハンター? 何だそれは」
空港の職員2「金さえ払えばどんな事でもする奴等です。素性は知れませんが腕は確かだと………」
アルフレッドの背後からガラスを割って突入するエルク。
エルク「ちょっとハデにやり過ぎたか………」
アルフレッド「…………………?」
この時、隙をついて女性は逃げ出す事に成功。
アルフレッド「!! くっ! 何だてめぇ!何しに来やがった!?」
エルク「ハンターさ。お前を片付けに来たな。悪く思わないでくれよ。こっちも仕事なんだ」
アルフレッド「なめた口ききやがって、気に入らねぇな。 俺様を怒らせたらどうなるか、思い知らせてやる!!」
エルクレベル:1
いきなりバトルに突入するが、復活の薬を装備したエルクがアルフレッドの背後または横から攻撃すれば、その1ターンで勝てるはず。
アルフレッドは着陸している飛行船へと逃走し、エルクはそれを追うことになる。
アルフレッド「くそっ……こいつ強い………。けっ!いい気になるな!勝負はまだついちゃいねぇぞ!」
エルク「ちっ、船に逃げ込んだか……」
ここで、先程人質となっていた女性が警官のすぐ後ろにいるので話し掛けてみよう。
エルクの怪我を見て(多分ガラスで切ったものだろう)、疾風のバンダナを応急処置として巻いてくれる。
女性「貴方のお陰で助かったわ。あっ…。大丈夫?額のところ少し血が出てるわ」
エルク「こんなん唾でも付けときゃ治るって」
女性「だめよ、ちょっと待って。これで大丈夫、ね。 まだ、あいつを追い掛けるんでしょ? 気を付けてね」
エルクが飛行船内部に入ると、一つの部屋から気配が感じられる。
エルク「………気配がする……ここか? ちっ、暗いな………。 そこかっ!」
暗闇に足を踏み入れると獣の赤い目が。しかし、それを制止する少女の声により、争いには至らずに済む。
リーザ「だめよ!パンディット。 やめて!!この子、何もしてないわ」
エルク「この子って、そいつはモンスターだぜ」
リーザ「この子は、大丈夫。私には逆らわないわ」
エルク「!! お前、モンスターを操れるのか?」
リーザ「…………」
エルク「そうか…。関わって欲しくない訳だ。まあ、こっちも今それどころじゃないんだ。ところで、今、この船に逃げ込んで来た奴を見なかったか?俺は、そいつを追ってるんだ」
リーザ「…」
エルク「知らない様だな」
リーザ「貴方………」
エルク「?」
リーザ「私を捜しているんじゃないのね?」
エルク「どういう事だ?」
リーザ「…」
エルク「黙ってちゃ、分かんないぜ」
リーザ「………私をここから逃がして欲しいの」
エルク「逃がす?」
リーザ「訳は言えないけど……」
男「ギャー、助けてくれ!」
エルク「くそっ、そっちか!? 仕事を片付けたら、戻って来るから」
通路の男「あっちだ。あの……階段から……甲板へ出た………」
通路に倒れている男の言葉通り、奥の階段を上がった飛行船甲板にアルフレッドの姿があった。
エルク「追い詰めたぜ…。 どうした?もう逃げないのか?」
アルフレッド「お前は今、追い詰めたと言ったな? 違うな…。お前が誘い込まれたんだよ。間抜けなハンターめ!! これでどうだ!」
アルフレッドはジャイアントバットを4体呼び寄せ、エルクに襲い掛かろうとする。
エルク「くっ…!!」
アルフレッド「傷付いた体で、戦いきれるか? ふはははははっ!!」
エルク「体に力が戻って来る!」
リーザ「もう大丈夫よ」
エルク「!? お前は、さっきの…」
リーザ「これで、思いきり戦えるわ」
エルク「ありがてぇ!! さぁ、決着をつけようぜ!」
パーティ平均レベル:1
リーザには布の服と先ほどの疾風のバンダナを替えさせ、パンディットは状況次第ではコールドブレスを使わせる。アルフレッドは一旦エルク達から離れていくので、その間にジャイアントバットを全て倒しておく。
アルフレッド「あいつらただ者じゃない。ちくしょう、ここまで来て死んでたまるか!!」
ジャイアントバットはレベル2でHP17。エルクならほぼ一撃。リーザは背後から攻撃すれば10前後のダメージを与えられるので、パンディットと協力して闘うこと。そして、リーザは2ターン目でジャイアントバット数匹から受けるエルクのダメージをキュアで癒す。
残るアルフレッドは、特殊能力の天の裁きにさえ気を付ければ(HP残量に気を付けて回復をしておけば)苦労することなく倒せるはず。
アルフレッド「助けてくれ…」
エルク「大人しくしてれば命は助けてやるさ。ハンターズギルドにお前を引き渡せば俺の仕事は終わりだ」
アルフレッド「違うんだ!! 奴等は、失敗を許さない。奴等に…奴等に殺されるんだ!」
エルク「奴等ってのは?」
リーザ「…」
アルフレッド「恐ろしい力を持つ組織だ。俺も奴等にか… ぐはっ」
エルク「!?」
黒服「死に損ないが、いらぬ事をペラペラと」
エルク「何だ、お前ら!」
リーザ「!!」
黒服「娘を渡してもらおう」
エルク「おい、どういう事なんだ?」
リーザ「この人達が私を…」
黒服「黙れ! 余り深く関わらない事だ。命が惜しければな」
エルク「何だと! !!」
黒服「どこに逃げようと、いうのかね?」
エルク「くっ……! うっ!」
黒服「いい加減に諦めたらどうだ?」
リーザ「私…そっちに行きます」
エルク「おい!!」
リーザ「もういいの、だってこのままじゃ2人とも………」
ここで、またエルクの過去の回想シーンが始まる。
それは白い家から脱出を図った時の、帰らずの森の中でのエルクとミリルの悲しい思い出であった。
男1「子供が2人逃げ出したぞ!!」
男2「追え、絶対に逃がすな! そっちに行ったぞ!!」
男3「早く捕まえろ!」
ミリル「きゃっ!」
エルク「ミリル! 早く立って!」
ミリル「わたしはもうだめ…」
エルク「何いってるんだ!」
男1「相手はガキだ、そう遠くに行けるはずがない。探せ、絶対に逃がすな!」
ミリル「お願いエルク、あなただけでも逃げて」
エルク「そんな…」
ミリル「このままじゃ2人とも………」
黒服「何をしている?さっさと来い!!」
リーザ「……」
部下「命拾いしたな、小僧。 娘に礼を言うんだな」
エルク「…俺を…」
部下「?」
エルク「見損なうんじゃねぇぜ!!」
リーザ「!?」
黒服「こ、小僧っ!!」
リーザ「!! パンディット!!」
エルク「こっちだ!!」
リーザ「ありがとう、でもどうして?」
エルク「話は後だ、行くぞ!! うおおおぉぉぉぉっ!!」
部下「逃がしてたまるか!!」
部下はエルク達に向けて発砲し、リーザが撃たれてしまう。
リーザ「キャァッ!!」
エルク「何!!」
黒服「やめないか!! 生きたまま捕らえなければ意味がない」
部下「はっ…」
黒服「ルガータ」
ルガータ「はっ」
黒服「ガルアーノ様に、報告をしておけ」
ルガータ「はっ!!」
黒服「ガキだと思って少々甘く見過ぎたか…」
エルク達は、プロディアスの街まで逃げて来た。
エルク「取り敢えず逃げられた様だな。 傷は大丈夫か?」
リーザ「ええ……」
エルク「インディゴスに、俺が昔世話になった人がいる。とにかく、そこで傷の手当てをしよう。少しの間我慢してくれよ」
………アルディア・ガルアーノ邸………。
ガルアーノ「何っ?空港占拠に失敗した…なぜだ? ハンターが『アルフレッド』を…。炎使い!! 確かか!? …リーザを連れて…逃げた?…分かった、必ず探し出せ!! 貴様の命に代えてもだ!! モンスターと人間の『合成』にはまだまだ時間がかかる様だな…。しかし、あの小僧がハンターになっていたとはな。炎使いか…。クックックッ、こいつは思わぬ拾い物だ」
エルクは、東アルディアの南部にあるインディゴスの街のシュウのアパートまでリーザを連れていく。
エルク「大丈夫か?」
リーザ「着いたのね…」
エルク「ああ、あと少しの辛抱だ」
アナウンサー『ニュースをお伝えします。昨夜のアルディア空港での事件の続報ですが、犯人が逃げ込んだ飛行船の甲板で多量の血の跡が発見されましたが、犯人はまだ発見されておらず、その生死も不明です。また、解決を依頼されたハンターも行方不明であり、当局は事件との関係を追求するためその行方を追っています。続きまして…』
エルク「シュウ、俺だ。エルクだ」
シュウ「…。 入れ、カギは開いている」
エルク「シュウ、少しの間ここに置いてくれないか? 悪いけど、俺一人じゃないんだ」
シュウ「見ればわかる。その娘は?」
エルク「行き掛りで助けたんだ。まだ、名前も知らない。どうも面倒に巻き込まれちまったみたいなんだ」
シュウ「とにかくベッドを使うといい」
エルク「すまない」
シュウ「空港の一件、やはりお前か?」
エルク「へへ、お見通しだな。その通りさ。この娘とはその時に…。どうやら、モンスターを操る力を持っているらしい。そのせいか、妙な奴等に狙われてるんだ」
シュウ「妙な奴等…」
エルク「ああ、相当やばい事をやってそうな感じだったな。とにかく医者に見せなくちゃ」
シュウ「空港のニュースは国中に流れている。目立った事は出来んぞ」
エルク「しかし…」
シュウ「ラドの親父になら、頼めるかもしれんな」
エルク「ラドの親父?」
シュウ「闇医者だ、ハンター御用達のな。俺は、出掛けなくてはならん。戻るまで、部屋は自由に使えばいい。 疲れているなら、そこのソファーで休め。 気を付けて動いた方がいいかもしれんぞ」
エルク「ああ。 シュウ、すまない」
シュウ「気にするな」
エルク「早く、ラドとかいう医者を探して来なきゃな」
まずは、情報の集まりそうな酒場を訪れてみる。そして、カウンターで飲んだくれている男に話し掛けてみる。
男「ぷは〜、 うめぇ!! この世に、酒さえあればもう何もいらないぜ」
バーテン「先生、そろそろやめた方がいいんじゃない」
男「なんだとぉ〜、貴様、バーテンのくせに」
エルク「ひどい、酔っぱらいだなぁ」
男「ん? 小僧、何見てんだ! あっち行け!」
エルク「おっさん、そんな飲んで大丈夫かい?」
男「ん? 大きなお世話だ、小僧」
酒場では特に情報は得られず、店を後にするエルク。次に、ハンター御用達の闇医者ということで、直接ハンターズギルドで情報は得られないかと、エルクはインディゴスのギルドに向かう。
受付「何の用だ?仕事が欲しいのか?」
エルク「いや、人を捜してるんだ。名前はラド」
受付「ギルドに人捜しに来るハンターがいるとはな。とんだ、お笑い種だ」
エルク「ラドって男、ハンターの間じゃ知られた奴だって話だけど」
受付「知らないね。そこのハンターにでも聞いたらどうだ?」
エルクは、渋々ながらこの場は引き下がり、そばにいる男に聞いてみた。
エルク「ラドっていう男を捜してるんだ」
男「ラドの親父か、知ってるぜ。この時間ならきっと酒場で飲んだくれてるはずだ」
早速、エルクは酒場に足を運んでみることに。
店内に入ると、一人の男が千鳥足で出ていくところで、扉の前に立っているエルクに「どかんか!」と怒鳴り、店を後にしていった。
エルク「何だ、あのオヤジ」
カウンターにいるバーテンの話では今出ていった男がそうで、廃虚の町に行くと言っていたと教えてくれる。
バーテン「ラドの親父を捜してるって? 今さっき出てったな。廃墟の町に行くとか言ってたぜ」
廃虚の町では、ラドが死にかけたところを見捨てられたという強盗に襲われており、そこへエルクが割って入る。
ラド「おかしいな、確かここの筈だが…」
リーランド「まんまと来やがったな」
ラド「!?」
リーランド「ラドの親父よぉ、俺が誰だか分かるか? 分からねぇだろうな。じゃあ、警察から逃げる時に受けた傷で死にかけていた、間抜けな強盗だと言ったらどうだ」
ラド「あの時の…だが、儂が診た時にはもう助けようがなかった」
リーランド「お前が見捨てた後、俺はあるお方に拾われた。その方に命を助けられた上に、こんな強い体にしてもらったんだ。だから、まず俺を見捨てたあんたに、礼をしようと思ってな。じっくり時間をかけて殺してやるぜ」
エルク「ちょっと待った! その親父に用があるんだ。悪いが連れて行くぜ」
リーランド「邪魔が入っちまったな。まあ、いいだろう。丁度、力試しをしたかったところだ。お前から始末してやる!」
エルクレベル:3
リーランドは反撃レベルと攻撃力が高いので、必ず1スクエア(インディゴスギルドの男の説明での用語。アークザラッドでのバトル中のマップの1マスの事)離れた所から槍で攻撃すること。仮に隣り合った所から攻撃した場合、反撃で逆にやられてしまうことも多々ある。
リーランド「くそっ!覚えてやがれ」
エルク「大丈夫か?」
ラド「どうやら、お前に命を助けられたようだな。しかし、人間をモンスターに変えちまうなんて…。この国には、とんでもない奴がいるようだな」
エルク「あんたが、ラドだな」
ラド「そうだ」
エルク「ちょっと頼みがあるんだけどな。知り合いが、倒れちまったんだ。今、インディゴスのアパートで寝てる」
ラド「命の恩人の頼みを断る訳にもいくまい」
エルクは、ラドを連れてシュウのアパートに戻った。
ラド「よし!これで、もう安心だ」
エルク「どうなんだ?」
ラド「随分と体が弱っていたな。思ったよりも、危ない状態だったぞ。なんで、あんな若い娘が撃たれる羽目になったんだ?」
エルク「…」
ラド「まあいい、取り敢えずは大丈夫だ。ゆっくり休ませれば元気になるだろう。俺は帰るぞ」
リーザ「………」
エルク「少し元気になったな。あの医者、口は悪いが、腕は確かみたいだな」
リーザ「じゃあ、貴方がお医者さんを?」
エルク「まあな」
リーザ「ありがとう…。どうして…私を助けてくれたの?」
エルク「奴等どう見てもまともじゃなかったからな。そういえば、名前もまだ聞いてなかったな。俺は、エルク。ハンターなのはもう知ってるよな」
リーザ「私は、リーザ…。 私、村の外で人から優しくされたの初めて。しかも、貴方は、私の名前さえ知らないのに…」
エルク「じゃあ、話す気になったのか?」
リーザ「私、誘拐されて、あの船で、どこかの研究施設へ送られる途中だったの。そこには、様々な特別な力を持った子供がたくさんいるって言ってたわ。船の中でも、随分色々な事を調べられた。モンスターと一緒に暮らす実験もさせられたわ。それが、パンディット。そして、あの日の夜、部屋への移動中に…」
兵士1「何かあったらしい。私は様子を見て来る。お前は、こいつらを見張っていろ」
兵士2「はっ」
リーザ「すいません、体が…」
兵士2「どうした。 うぎゃっ」
リーザ「逃げるわよ。 早く!!こっちよ。ここに隠れましょう」
リーザは、エルクに会ったあの飛行船での経緯を語り始める。
リーザ「そして、そこへエルクが現れたの」
エルク「そうだったのか」
リーザ「今まで、何も話さなくてごめんなさい」
エルク「いいんだ」
リーザ「ふぅ…。一度に話したら、疲れたわ」
エルク「ああ、今日はこれで充分だ。少し眠るといい」
リーザ「うん」
シュウ「特別な力を持つ子供を集める施設か」
エルク「無くしちまった、俺の記憶とも関係あるかも知れない」
シュウ「その、炎の力か」
エルク「ああ」
シュウ「今の仕事が終われば、私も体が空く。そうすれば、お前を助けられるだろう」
エルク「ありがたい」
シュウ「今日は、もう休む事にしよう」
そしてその日の夜、エルクはまた過去の記憶の断片を見る。
それは、故郷で人々が銃殺されたシーン。エルクはうなされ、リーザに起こされて目覚める。