海底油田を壊滅させ、ミルマーナ空港まで戻ってきた一行は、シルバーノアの作戦室に集まった。
そこには、一行を出迎えるチョンガラ船長の姿があった。
チョンガラ「ご苦労さん。早速じゃが、次の目標が決まったぞ」
トッシュ「また、海の上とか言うんじゃねぇだろうな?」
チョンガラ「心配するな、ちゃんとした国じゃ。アミーグとバルバラードの二つの国から反応が出とるんじゃ」
アーク「2つの国からか………」
エルク「どうする、2つ同時に攻撃するのか?」
アーク「いや、1つずつ確実に叩いていこう」
チョンガラ「準備はいいようじゃの。ほんじゃ、シルバーノア発進じゃ!」
ミルマーナ空港を発ったシルバーノアは、北東のアミーグへ向かう。
一行は、空港から南のモレアという街に入った。
すると、前から歩いて来た男達が話し掛けてくる。
アントニオ「おい、物知りの俺達の、知らない顔が歩いてるぜ」
ゴメス「もちろん、俺もそう思ってたとこだぜ! ようっ!」
アーク「?」
ゴメス「よく来てくれたじゃないか、アミーゴ」
アントニオ「ようこそ!この街は初めてみたいだな」
アーク「まあ、その…」
ゴメス「おいおい、どうしたんだい?アミーゴ」
アントニオ「どこに行きたいんだい?なんなら、ごきげんな俺達が、このモレアを案内してやろうじゃないか」
アーク「俺達って言われてもね…、確かにゴキゲンみたいだけど」
アントニオ「そういや、ブラザー、俺達の自己紹介がまだだったようだぜ」
ゴメス「いやあ、これは俺としたことが、うっかりしてたぜ、すまなかったな。俺達はな…ゴメスと」
アントニオ「アントニオ。陽気で親切な兄弟さ」
アーク「悪いんだけど、観光じゃないからガイドは必要ないよ…」
ゴメス「それはまた、淋しいこと言ってくれるじゃないか、アミーゴ」
アントニオ「なんと、俺達は必要ないってのかい?」
ゴメス「まあ、こういう日もあるさ。何か知りたいことでもあれば、いつでも聞いてくれよな」
アントニオ「俺たちゃ、そこの酒場で待ってるぜ!」
ゴメス「それじゃあよろしくな、アミーゴ」
アーク「はあ、そうですか…」
男「長老の許可がない者は、ここから出られないのであ〜る。すまんがね、その内何とかなるだろうよ」
どうやら、街の人達の言う神の塔へ入るには、この街の長老に許可をもらわなければならないらしい。が、長老の館へ出向いても昼寝の時間ということで中へは入れてもらえない。そこで、アーク達は酒場の奥へあの二人組を訪ねて行く。
ゴメス「おっと、来たかい、待ってたぜ、アミーゴ」
アーク「??? また、この2人…」
アントニオ「やっぱり俺達の事は忘れられなかったって事だろ」
アーク「…それはいいとして、神の塔について聞きたくてね」
ゴメス「神の塔!?そりゃまたアミーゴ、いいとこに目を付けるぜ。実はあの塔にはなあ…」
アントニオ「おい、ブラザー!」
ゴメス「どうした、邪魔すんなよ、ブラザー」
アントニオ「この顔見たことあるんだよ。…アールだかアレクだか言う大泥棒一味さ!」
ゴメス「おいおい、そんな有名泥棒一味様が、こんなとこまで何しにいらっしゃってんだよ」
アントニオ「自慢じゃねえが、この街にゃ盗む程のもんなんかありゃしないね」
ゴメス「そうだったのか!分かったぜ、ブラザー。さては、大泥棒も、いよいよ神の塔のお宝に目を付けたね」
アーク「いや、目的はお宝じゃない」
アントニオ「俺とお前の仲じゃねえか、隠し事はなしにしようぜ」
ゴメス「村はずれの森にある神の塔は、お宝で溢れてるって、噂だからな。それ聞いてモレアまで来てくれたんだろ」
アントニオ「まあ、この村の俺達にとっちゃ、塔の宝なんざ気になんないけどね」
ゴメス「でもよ、ブラザー、ここんとこ妙な連中が塔に出入りして、何かしてるんだったよな?」
アントニオ「ありゃ、お宝狙いに決まってるよな」
アーク「えっ!? その連中はどういう感じだった?」
ゴメス「おいっ、ブラザー?」
アントニオ「分かってるって、ブラザー!」
二人は内緒話をするために、酒樽の裏へとまわる。
ゴメス「やっぱり大泥棒もお宝狙いってことだな、ブラザー?」
アントニオ「それならついでに俺達が利用させてもらうぜ!」
ゴメス「良く分かってるじゃねえか、ブラザー! 見付けたお宝は、もちろん俺達が頂きってことよ」
アーク「そこで、何をこそこそしてるんだ?」
ゴメス「!」
アントニオ「まあまあ、そう焦るなって」
ゴメス「塔へ登るにも、ここでは長老の許可が要るってわけさ」
アントニオ「長老は偉いんだぜ、何といっても、この村で一番長く生きてやがるんだからな」
ゴメス「この親切な俺達がご紹介してやろうってのよ、アミーゴ、良かっただろ?」
アーク「よろしく頼む」
ゴメス「そうか!善は急げって言うからな」
アントニオ「早くしようぜ、お宝がなくなっちまう」
2人に連れられ、アーク達は長老の館へ向かった。
ゴメス「ようっ、長老いるだろ?」
門番「お前らか、今日は一体何の用だ」
ゴメス「長老に、すげえお客さんをお連れしたのさ」
門番「いつもお前らの言うのは、そんなことばかりじゃねえかよ」
アントニオ「まあ、聞いて驚くなよ。世界中を荒らし回ってる大泥棒ご一行様よ」
門番「えっ、そんなに有名人なのかい?」
アーク「だから、違うって言ってるのに」
エルク「有名人だってさ」
アーク「あのなあ…、俺だけかよ」
門番「大泥棒の割には、随分マヌケ面してるよな」
アーク「し、失礼な…」
シャンテ「マヌケ面ってのは、良かったわね」
アーク「からかわないでくれよ」
門番「でもまあいいや、通してやるから…記念にサインくれよ」
アーク「サイン…?」
イーガ「サインなど、書いたことがないのだが…」
シャンテ「誰も、イーガのサインなんか欲しがらないんじゃないの」
イーガ「なんと、そうだったのか…残念」
門番「そう、遠慮せずにさ、頼むよ。こんなとこまで、有名人なんて滅多に来ねえんだからさ」
アーク「………」
シャンテ「勿体ぶらずに、サインしてあげたら?それで、入れてくれるって言ってるんだし」
エルク「そうだぜ、何と言っても、指名手配の超有名人さんだし」
門番「どうなんだよ、サインくれなきゃ入れてやんねえからな」
アーク「分かったよ」
門番「門番さんへ、ってちゃんと書いといてくれよ。あ、モレア長老を警護する、頼もしい門番さんの方がいいよな」
アーク「全くしょうがないなあ…。こんなんで、いいのか?」
門番「おう、ありがとうよ。アーク一家ねえ、大切にさせてもらうよ」
シャンテ「断わっとくけど、私は泥棒なんかじゃないわよ」
門番「いいから、いいから、長老なら奥にいるぜ。ついて来いよ」
アントニオ「ここが長老の部屋だぜ」
ゴメス「ささっと入ろうぜ、アミーゴ」
アントニオ「おいっ、長老!生きてるかい」
ゴメス「あんたにお客さんだぜ!」
長老「ほうほう、よく来てくれたのう。わざわざ客人が儂に会いに来るなど、珍しい事もあったもんじゃな。早速歓迎させてもらうかのう」
アーク「歓迎は結構。神の塔に登れるよう、許可をもらいたい」
長老「そうか、神の塔に登りたいとおっしゃるか…。なかなかの命知らずなんじゃな。命知らずと言えば、こう老いぼれて見えても、儂とて若い頃は無茶ばかりしてのう。古の勇者再来か、なんぞと噂されて、それはもう、もて放題じゃったのう」
アーク「………。許可をもらいたいだけなんだが」
長老「まあまあ、そう焦ってばかりではイカンのう。儂の話を、是非とも聞かせて欲しいんじゃろうに」
アーク「聞かせて欲しい」
長老「そうじゃろうなあ、儂の話はいつでも大人気じゃからのう。さあて、あの塔はいつ、何のために造られたのか、実のところ儂は知らん」
ゴメス「確かに、物知りの長老も知らねえんじゃ、他に誰も知る訳ねえよ」
アントニオ「でも、お宝は山程眠ってるんだぜ!」
長老「そう先を急ぐな、実際宝というのも、噂でしかない。何しろ、塔に入って、生きて帰って来た者がおらんしのう」
ゴメス「全くうざったい爺いだな、塔の周りからだって、珍しいもんは見付かるじゃねえかよ」
長老「それはそうじゃな、この街には、他では手に入らん珍しい物が山程あるんじゃ。モレア土産に買ってかんか?儂のつてで特別に安く譲ってやるぞ」
アーク「………」
長老「何じゃ、心が貧しいんじゃのう、そうそう、許可じゃったかの?塔に登る許可が欲しいんじゃったな?」
アーク「ようやく…」
長老「こんだけじゃ」
アーク「?」
長老「全く鈍いのう、10000ゴッズじゃよ」
アーク「下らないよた話の上に、お金まで取るのか…」
長老「何じゃと?観光名所なんじゃから、入場料くらい当たり前じゃ」
アーク「………」
『ここまで来たからには、払う』
長老「毎度あり〜。よし、神の塔へ登っていいぞ」
アーク「それだけ…?」
長老「儂の許可が重要なんじゃ」
アーク「………」
長老「ん、何か言ったかの?」
これでいよいよ神の塔へ登る事が出来る様になったが、神の塔へ行く前に済ませておかなければならないギルド仕事がある。それは、『長老館の紛失事件』。これは、長老に神の塔へ登る許可をもらってから神の塔をクリアするまでの短い間の、期間限定のギルド仕事である。
アーク「ここか」
エルク「確かにうさん臭そうな塔だな」
ヂークベック「コノとうは……」
ヂークベックは、突然回路が壊れて暴走でも始めたかのように、ボディを小刻みに震わせる。
トッシュ「おい、大丈夫なのかい、こいつ?」
ヂークベック「この塔は古の時代に造られたものだ」
エルク「何だ!? ヂーク壊れたのか?」
ヂークベック「心配するな、私は正気だ。古の王は各地にこの様な塔を造り、世界を監視していたのだ」
アーク「そんなものがまだ残っていたとはな…」
トッシュ「こんなもんまで利用するなんて、アンデルの考えそうなこった。なぁ!」
トッシュはそう言いながらヂークベックの方に歩み寄り、軽く殴った。すると、またヂークベックの回路が暴走気味になったようだ。
トッシュ「おい、大丈夫かい?」
ヂークベック「? ?? ???」
ヂークベックはあちこち見回し、状況が把握出来ていない様子。
ヂークベック「???? ナニか、あったんカ?」
トッシュ「…………。元に戻っちまった」
アーク「……奴等がどんな仕掛けをしているか判らん。慎重に行くぞ!」
ヂークベック「??????」
ゴメス「おいブラザー!」
アントニオ「なんだいブラザー」
ゴメス「奴等中に入って行ったぜ」
アントニオ「よし、奴等に先を越されるな。お宝はオレ達のものだ!」